関連株的思考と、駆虫薬の話

以前私は株式投資で大やけどを経験したことがあります。関連株投資といって、関係性のある会社や分野に対する投資をするものでした。

関連するといってもまったく同じではないわけで、期待通りにならなかったわけです。

薬において、含まれる成分を関連株のように見立てることは容易です。解熱剤という薬の成分に注目すると、効果は同じで異なる成分が何種類も存在しているからです。

今回の話は、駆虫薬の成分の1つである「イベルメクチン」が、一時期コロナの治療薬に有効であると噂になったことからの学びです。というのも、関連株投資のように、このイベルメクチンと関連する駆虫薬を買い占めようとした人がいたのです。

駆虫薬とは

駆虫薬は、腸管内の寄生虫に対して、これを駆除するために用いられる医薬品である。一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫は、回虫とぎょう虫である。

厚生労働省登販売者試験の問題作成の手引には、このように記載されています。

一般では、ぎょう虫検査 と聞いてピンと来る方が出てくるのではないでしょうか。

2015年度にこの検査は廃止となったそうで、あのお尻にペタッと貼り付ける所作を知らない人が増えてくることに驚きを隠せません。

一般購入可能な駆虫薬

一般の方が薬局やドラッグストアで購入できるものは、パモ酸ピルビニウムが主成分のパモキサン錠(第2類医薬品) があります。というよりも、これしかありません。

駆虫薬の成分は以下のようにあります。ペット用の回虫駆除薬は多くありますが、人用のものは一般流通していません。

  • サントニン(回虫)
  • カイニン酸(回虫)
  • ピペラジンリン酸塩(回虫・ぎょう虫)
  • パモ酸ピルビニウム(ぎょう虫)

なお、ネットで人の駆虫薬を検索するとヒマシ油が出てくることがあります。しかし、ヒマシ油の使用は「腸管内の物質をすみやかに体外に排除させなければならない場合」と規定されているため、ご注意ください。

厚生労働省の規定

こういった駆虫薬は、果たしてコロナウイルスに効果があるのでしょうか。

駆虫薬に関して、あくまで一般用医薬品に限りますが厚生労働省は以下のように記載しています。

駆虫薬はその有効成分(駆虫成分)が腸管内において薬効をもたらす局所作用を目的とする医薬品であり、消化管からの駆虫成分の吸収は好ましくない全身作用(頭痛、めまい等の副作用)を生じる原因となるため、極力少ないことが望ましい。食事を摂って消化管内に内容物があるときに使用すると、消化管内容物の消化・吸収に伴って駆虫成分の吸収が高まることから、空腹時に使用することとされているものが多い。

局所的作用を目的としている上で、体内に吸収されることで副作用が生じると書かれていることから 本来の用途からは逸脱 していると考えられます。

イベルメクチン

話題となったイベルメクチンも、駆虫薬に分類されている成分です。この成分は、北里大学の大村智教授が発見した微生物の作り出す抗微生物活性を持つ物質を元に開発されたそうです。

ある薬剤師の方に聞いたところ、そのイベルメクチンの起源となった微生物はそれ以降見つかっていないと教えてくれました。(本当でしょうか?)

イベルメクチンは糞線虫(ふんせんちゅう)の駆除に用いられます。

コロナに効くと噂になった根拠を求めて、もともとある薬を新しい病気に使う既存薬再開発かと調べましたが、そういった情報はありませんでした。

※参照KEGG MEDICUSのイベルメクチンの添付文章

関連株と駆虫薬

今でこそ、イベルメクチンにコロナウイルスに対する 効果はない と発表されています。しかし、冒頭に出てきた関連株のような考え方で、関連する駆虫薬を大量に仕入れている取引先がいました。

そこで人生で初めてぎょう虫駆除薬を目にすることとなりました。

この薬の有効成分である「パモ酸ピルビニウム」はどういう効果を示すのかというと、先程述べた通り局所的作用で腸管にいるぎょう虫を駆除するのみです。

2つの違い(リスク)

成分は異なりますが、同じ駆虫薬の成分である イベルメクチンは劇薬に指定 されているため、リスクが高くなります。そのため病院で処方されない限り、私達が使用する機会はありません。対して、パモ酸ピルビニウムを含む薬はドラッグストアで購入することができます。

  • イベルメクチン:劇薬、処方箋医薬品
  • パモキサン:第2類医薬品

根拠のない噂によるものか、一般的に目にする機会がないからでしょうか、海外から個人輸入をされる方も多くいたようです。

薬から別の作用機序が見つかったのなら別ですが、そもそもコロナは寄生虫ではなく、ウイルスであるということを理解すると、直接的な用途は異なりますね。

まとめ

何が正しいのか、そうではないのかは、正確な情報をベースに判断していくことをおすすめします。

まだ見ぬ治療薬や予防薬よりも、自身の体の免疫機構がいざという時働いてくれるよう、食養生をしっかりとすることが、今できる最良の方法かもしれません。

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